古いパソコンの動作を速くしたい
古いパソコンは最新の製品と比較すると、様々な作業において処理速度が遅く感じ、買い替えを検討する事もあります。確かに最新のパソコンに搭載されたCPUと比較すると、古いパソコンに搭載されたCPUは世代が古く、処理速度や機能、あるいは消費電力当たりの性能等で見劣りします。
パソコンを使った様々な作業で高速化したい時、まず第一に挙げられるのがCPUのアップグレードですが、様々なパーツがシステムとして連携して稼働するパソコンでは、他にも高速化出来る要素が多くあります。
ここではCPUも含めた様々な方法(主にハードウェア的)で、古いPCを速くする方法を紹介します。
※全てのパソコンで適用出来るとは限りませんので御了承下さい。
※アップグレードの内容によってはメーカー保証が無くなる場合もあります。自作と同じく自己責任で行ってください。
【全体の高速化】⇒【CPU交換】

OSやアプリケーションソフトウェアの処理速度にダイレクトに影響するのがCPUの交換です。ただし、古いパソコンではCPUソケットの種類も古い場合が多く、最新のCPUを載せる事は難しいと言えます。
Intelの場合は対応CPUソケットが異なるCPUの搭載は無理で、AMDの場合はCPUソケットの種類が比較的少なく、マザーボードの対応状況次第で新しいCPUが搭載出来る場合もあります。
まずは、古いPCのマザーボードのメーカーと型式とBIOSのバージョンを調べて、マザーボードメーカーのサイトで対応CPUリストを確認します。BIOSのバージョンによっても対応するCPUが異なるので、最新BIOSバージョンでどのCPUまで対応されているかを確認します。
対応するCPUの中で一番高性能なモノが、古いパソコンに搭載されているCPUと比較し、性能差があまり無いようであれば、費用対効果が低いのでおすすめできません。性能差が比較的大きければ、アップグレードする価値があると言えます。(アップグレード先のCPUの価格も含めて検討)
※関連ページ → CPUペンチマーク比較
CPUをアップグレードする時は、事前にマザーボードのBIOS(UEFI)を最新版へアップデートしておきます。BIOSのアップデートは失敗するとパソコンが起動しなくなる事もあるので慎重に行います。(BIOSのアップデート方法はマザーボードのマニュアルを参照)
CPUの入手では、世代の古いCPUソケット用のCPUは、新品で入手し難い場合もありますが、自作ショップやネット等で中古として販売されているCPUも多くあるので探します。CPUクーラーが付属しないバルク品のCPUでも、同じCPUソケットに対応する市販のCPUクーラーと合わせて使う事が出来ます。
※関連ページ → CPUクーラーについて
古いパソコンが元々ローエンドや激安タイプのCPU搭載で、電源の出力が小さい場合は、念のためアップグレードするCPUを含めたPCパーツ構成で必要な電源出力を概算し、不足であれば電源の交換も行います。
※関連ページ → PC電源容量計算
CPUの取付をする時は、CPUクーラー側にCPUグリースが塗られてない(中古CPUや市販CPUクーラー等)場合は、別途CPUグリースを用意し、CPU本体を取付後にCPUのヒートスプレッダーにCPUグリースを塗り、その後CPUクーラーを取付けます。
CPUの取付と、CPUクーラーファンコネクターの接続が出来たらパソコンを起動し、ファンが回っている事と、BIOSでCPUが正しく認識されている事を確認します。
※関連ページ → CPUについて
※関連ページ → CPUソケットについて
※関連ページ → CPUグリスの比較と選び方
【全体の高速化】⇒【HDD交換(システムドライブ)】

古いパソコンに搭載されているHDD(システムドライブ用)を、新しいHDDやSSDへ交換する事で全体の動作を速くする事が出来ます。
HDDはCPUやメモリーやVGA等と比較すると非常に遅いデバイスで、OSやアプリケーションソフト/データ/スワップファイル等で頻繁にHDDへアクセスが行われ、その遅さゆえにパソコン全体の動作速度の足を引っ張る形となります。
数年前の古いHDDと比較すると、最新のHDDはアクセス速度が向上しており、システムドライブのHDDを新しいHDDへ交換する事で、大幅とは行かないまでも着実に体感速度が上がり、パソコン全体として高速化が行えます。
SSDでは更に高速化が期待出来、数年前の古いHDDと比較すると最新のSSDでは、転送速度の桁が違うレベルの差がありますが、HDDと比較すると高価な為、大容量を確保し難く、別途HDDとの併用も検討するのがおすすめです。
※関連ページ → HDD性能比較
※関連ページ → SSD性能比較
システムドライブ用のHDDとしては、1~2TB程度の高速タイプ(7200rpm)で1プラッタの容量が多い製品がおすすめで、SSDは出来るだけ容量の多いモノがおすすめです。(価格と予算を検討)
システムドライブの交換では、新しいドライブへのOSやドライバー、アプリケーションソフト、データ等、全てを再インストールする必要があります。
※関連ページ → HDDについて
【全体の高速化】⇒【RAID構築】
システムドライブやデータドライブのHDDやSSDをRAID化し、ストレージ回りの高速化を行えます。
高速化を狙いとするならRAID0(ストライピング)やRAID10(ミラーリング+ストライピング)がありますが、RAID0では高速性と引き換えに障害時のデータ損失のリスクが増え、RAID10ではRAID0の高速性とRAID1の信頼性を兼ね備えたタイプですが、HDDが4個も必要となり実際に使える容量が2個分となります。
内蔵HDDでRAIDを構築する時は、HDDを取付ける場所と接続コネクター(電源・信号)の確認と、マザーボードがRAIDに対応しているかを確認します。マザーボードがRAIDに対応していなくても、RAID対応のSATA拡張カードを増設すれば、RAIDが使えます。
eSATA接続の外付けHDDケース(RAID対応)を使う場合は、PC側のeSATAポートがポートマルチプライヤーに対応している必要があります。
システムドライブをRAID化するには、OSやドライバー等全て再インストールとなります。
【全体の高速化】⇒【メモリーの増設】

OSやアプリケーションソフトやデータはメモリーに読み込まれ様々な処理をされますが、メモリー容量が不足すると、アクセスの遅いHDDの一部を仮領域としてスワップファイルが作成され、随時入れ替えを行いながら処理されます。スワップされる量が多い程、パソコン全体の速度が遅くなり、動作がもっさりした感じになります。
メモリーを増やす事でスワップ量を減らし、パソコン全体の速度を上げる事が出来ます。使用環境やシステム環境により、メモリー増設の効果は様々ですが、古いPCで容量の少ないメモリーを、普通のホームユースなら8GB程度、動画や画像等の大きなデータを扱うなら16GB以上にするとある程度の効果が期待出来ます。
メモリーの増設で注意するのが、古いPCのマザーボードでは古い規格のメモリーソケットを使用している事もあり、最新規格のメモリーが使えない事もあるので、仕様(対応メモリーの規格)を確認してから選びます。
※関連ページ → メモリーと規格について
【全体の高速化】⇒【マザーボード/CPU/メモリーの交換】

パソコンのシステムの基盤となるマザーボードと、合わせてCPUとメモリーも交換します。
最新仕様のCPUソケット/メモリーソケット/拡張スロット/SATAポート等のI/F環境を導入し、最新のPCパーツを搭載可能とします。
交換するマザーボードは、ケースが対応するフォームファクターの中から選びます。(ATX/Micro-ATX/Mini-ITX 等)
関連ページ → フォームファクターについて
関連ページ → チップセット比較
OSやシステムの再インストールも必要となり大変な作業ですが、やってみると意外と楽しいモノです。メインのパソコンではなく、古くて使ってないPCでチャレンジするのがおすすめです。
※関連ページ → マザーボードについて
【3D性能の高速化】⇒【グラフィックスボードの増設】
古いパソコンで3Dゲームをしたい場合、3Dグラフィックス性能の向上が必要となります。
CPUやチップセット内蔵タイプのグラフィックス機能ではもちろん不足ですが、数年前のゲームPCに搭載されている古いグラフィックスボードも最新のグラフィックスボードと比較すると性能の差が大きくあります。
※関連ページ → GPUベンチマーク比較
遊びたいゲームタイトルによっても要求スペックが異なりますが、最新の重いゲームタイトルを快適に行いたいのであれば、最新のミドルレンジ以上のグラフィックスボードの導入がおすすめです。
※関連ページ → PCゲーム推奨スペック一覧
※関連ページ → グラフィックスボードについて
【CPUを高速化したい】⇒【冷却強化】
CPUの温度に余裕がある程、CPUのブースト機能(自動クロックアップ)が多く発揮され、定格クロック以上での高速動作が可能となります。その為、ブースト機能の効果をより引き出すには、CPUの冷却強化を行います。
CPUの冷却強化にはまず純正CPUクーラーを冷却能力の高い市販CPUクーラーへ交換します。市販のCPUクーラーは、純正品と比較するとサイズの大きな(巨大)製品が多く、ケースサイズや内部構成によっては取付出来ない製品もあるので、事前に設置スペースを確認します。
CPUクーラー交換と合わせて検討したいのが内部エアフローの強化です。特に安価なパソコンでは吸気ファンが搭載されてない製品もあり、外部の冷気を取り込み難くなります。もしパソコンに吸気ファンが搭載されていなくても、オプションで吸気ファンの設置が可能な構造であれば、エアフロー強化の為に吸気ファンの設置がおすすめです。
※関連ページ → PCのエアフローと冷却について
【ネットワーク環境を高速化したい】⇒【ギガビットLAN導入】

ファイルサーバーや他のPCとの大容量データのやりとりに、ギガビットLAN(1000Mbps)を導入し、ネットワークの転送速度を高速化します。
古いパソコンではギガビットLANに対応せず、100MbpsのLANアダプタが搭載されている場合もありますが、別途ギガビットLANカードを追加して、高速な1000Mbpsを利用する事が出来ます。
ギガビットLANの導入には、他にもハブやLANケーブルや通信相手のPCのギガビットLAN対応が必要となりますが、数年前と比較するとギガビットLAN対応製品の価格も下がり、導入の敷居が低くなっています。

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