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CPUクーラーについて


 CPUの冷却(放熱)にはCPUクーラーを使うのが一般的です。CPU自体は外気と接触する表面積が非常に小さく、その自然放熱による冷却能力だけでは到底不十分で、CPU本体だけでシステムを稼働させると熱暴走や故障の原因となります。(実際には多くの場合安全機構が働きます)
 その為、何らかの仕組みで過剰な熱量を外気へ逃がす必要があり、その為の仕組みがCPUクーラーです。

 昔のCPUではコアが剥き出し状態で、CPUクーラー取付不良等でコア欠けによる故障もありましたが、現在の多くのCPUではコアがヒートスプレッダに覆われており、コア欠けによる故障も殆ど無いと言えます。

CPUクーラーイメージ図
CPUクーラーのイメージ

 CPUコアの熱はヒートスプレッダを介してCPUクーラーの接触面へと伝達されますが、この際の熱伝達率が非常に重要となります。
 ヒートスプレッダとCPUクーラー接触面の間には、金属表面の粗さやうねりによる微小な隙間があり、この隙間の空気層を介した熱伝達率は非常に悪くなります。

 いくら冷却性能の高いCPUクーラーを搭載しても、そこへ充分に熱量が伝達されないと冷却性能を引き出す事は出来ません。その為、隙間の空気層を埋める為に熱伝導率の良いCPUグリスを塗布し、ヒートスプレッダからCPUクーラーへの熱伝達率向上を行います。

 関連ページ:CPUグリスの比較と選び方

 CPUクーラーに渡された熱は、そのままヒートシンクで放熱されたり、ヒートパイプを介して、より表面積が広く枚数の多い放熱フィンへと熱を輸送させ、放熱効果を上げる場合もあります。
 ヒートパイプは取付向きにより効果に影響がある場合もあるので、実際にヒートパイプ付のCPUクーラーを取付ける時は、メーカー推奨の姿勢で取付けるのがおすすめです。


CPUクーラーの主なタイプ


 CPUクーラーは構成により幾つかのタイプに分類出来、用途や使用環境に合わせて選びます。

【トップフロータイプ】

トップフロータイプイメージ図
 トップフロータイプはCPUの鉛直方向(上側)から下側へ向けてファンによりエアーを送り込み、放熱フィンから熱を受け取りCPUソケット周辺へと排出されます。
 トップフロータイプのメリットは、排出されるエアーによりCPUソケット周辺にある発熱の多いパーツも合わせて冷却してくれます。また、トップフロータイプのCPUクーラーはコンパクトで薄型の製品も多く、小型やスリム型のPCケースでも利用出来る製品も多くあります。



【サイドフロータイプ】

サイドフロータイプイメージ図
 サイドフロータイプはCPUの水平方向からファンによりエアーを送り込み、放熱フィンからの熱を受け取り反対側へと排出します。トップフロータイプと比較して冷却性能の高い製品が多く人気があります。

 サイドフロータイプのメリットは、吸排気の流れが一定方向の為、トップフロータイプと比較するとPCケース内のエアフローを構築しやすくなります。

 サイドフロータイプのデメリットは、サイズが巨大で重い製品が多く、取付け可能なPCケースを選ぶ事と、マザーボード裏からのバックプレート取付タイプが比較的多く、PCケースにCPUクーラーメンテナンスホールが無い(あるいはあってもサイズが合わない)場合は、CPUクーラーを脱着する為にマザーボードを取り外す必要があります。


【ファンレスタイプ】

ファンレスタイプイメージ図
 ファンレスタイプは、CPUクーラーの放熱フィンからの熱をファンの送風を使わず、自然放熱だけで排熱するタイプで、放熱効果を上げるには外気との接触面積を増やす必要がある為、ファンレス専用のCPUクーラーは超巨大サイズの製品が多く、実際に使われる機会は少ないと言えます。

 トップフロータイプやサイドフロータイプのCPUクーラーでも、ファンの取外しが出来る製品が多く、ファンを取り外せばファンレスCPUクーラーとなりますが、必要な冷却能力が得られないと故障や動作不安定の原因となるので、もしファンレス化を行うのであれば、PCケース内部のエアフローを十分に確保し、高負荷連続稼働テスト等でCPU温度をモニターしながら調整していく必要があります。

 基本的には通常ラインアップのCPUでのファンレス化はおすすめしません。静音化をしたいのであれば無音のファンレス化ではなく、比較的大きなファンによる低速回転での流量確保と静音化がおすすめで、合わせて他のPCパーツの静音志向の選定や、PCケース自体の選定も重要となります。


【水冷タイプ】

水冷タイプイメージ図
 冷却能力の高い水冷タイプのCPUクーラーは徐々に普及してきており、発売当初と比較して安価でコンパクトで扱い易い製品も続々登場してきてます。

 水冷タイプの基本的な仕組みは、CPUから受け取る熱をポンプで循環させる液体でラジエーターへと送り、ファン送風により液体の熱を外気へと逃がし、冷却された液体を再びCPUヘッド部へと送ります。その為、CPUヘッド部は空冷タイプと比較するとコンパクト化しやすくなります。

 関連ページ:水冷CPUクーラーについて

 水冷CPUクーラーの取付は、ラジエーターユニットの設置も必要となり、取付けスペースの確認や、製品や設置場所によってはPCケース外への配管が必要となる場合もあり、PCケースに水冷用ホールがあるかの確認も必要となります。


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