エアフローと冷却について


PCパーツの中には発熱の多いモノがあり、冷却不足に陥ると故障や動作不安定や寿命低下の原因となる場合があります。
冷却性能を向上させるには、PCケース内部のエアフローの改善が基本ですが、PCケースの構造や仕様、搭載するPCパーツの種類や配置により対処方法や効果が様々です。特にPCケースの構造や仕様については、ユーザー側で変更出来ないので、BTOパソコンを選ぶ時はPCケースについても検討してみるのがおすすめです。
(エアフローイメージ図の通りに実際のエアフローがなる訳ではありません。PCケースの構造やパーツ配置、ケーブル配線等により様々です)


積極的に冷却したいPCパーツ

【CPU】
積極的に冷却したいパーツ

CPUの冷却はCPUクーラーで行われますが、いくら高性能なCPUクーラーを搭載しても、そこへ供給される空気の温度が高くては、冷却能力が低下します。
吸気のラインとしてはフロント側からのエアフローや、サイドパネルのメッシュやパッシブダクト等から冷気を取り込みます。サイドパネルが塞がっているPCケースでは、静音性と引き換えに冷却性能が低下します。

【VRM(Voltage Regulator Module)】

VRMの冷却は、PCケース内部のエアフローや、トップフロータイプのCPUクーラーから全周方向へ排出されるエアフローにより行われます。純正のCPUクーラーではトップフロータイプが殆どですが、サードパーティー製の高性能CPUクーラーではサイドフロータイプの製品も比較的多く、VRM周辺のエアフローにも配慮しましょう。

【メモリー】

高速なメモリーほど冷却にも気を使う必要があります。また、隣接するメモリー同士の隙間もエアフローが悪いので、メモリースロット周辺のエアフローの改善が望ましく、場合によってはメモリー用のヒートシンクの導入や、任意の場所へ設置出来るファンの取付等も検討します。

【電源】

電源の多くは吸気用のファンを搭載しており、電源内部の冷却を行いPC背面へと排気します。
従来からのPCケースに多い電源上部設置タイプでは、PCケース内部で暖まった空気を電源の冷却用として取り込む為、冷却効率が悪くなります。
最近のBTOパソコンやミドルクラス以上の価格帯のPCケースでは、電源下部設置タイプも比較的多くなっており、電源冷却用に冷気を取り込める為、電源の冷却効率が良く、電源の吸気ファンも低速回転で済む為、静音化や省電力にも貢献します。

【VGAカード】

高性能なグラフィックスボードはCPU以上に発熱が多く、VGAカード周辺のエアフローや冷却にも配慮する必要があります。
ハイクラスなグラフィックスボードを搭載するゲーミングBTOパソコン等では、冷却重視型のPCケースが比較的多く採用され、サイドパネルの広いメッシュや大型ファンの取付にも対応しますが、サイドパネルが塞がっているPCケースの場合は、フロント吸気からのエアフローだけが頼りとなり、途中のエアフローの障害物となるHDDやシャドウベイフレームの配置や設置方法等も検討しましょう。

【チップセット】

チップセットの冷却も、フロントからのエアフローやサイドパネルからの吸気等により行います。場所的に拡張カードや各種ケーブルがエアフローの障害物となる事もあるので、周辺のエアフローにも配慮しましょう。

【HDD】

HDDは熱に弱く寿命にも影響します。フロント吸気ファンが無い場合やHDDを隣接して設置するとHDDの冷却性能が低下します。
HDDを多数設置する場合は、HDD自体の冷却向上や後方へのエアフロー向上の為に、1段づつ空けて設置するのがおすすめです。


エアフローイメージ エアフローイメージ
電源上部設置構成でのエアフローイメージ 電源下部設置構成でのエアフローイメー

電源設置位置と煙突排気

最近の比較的高価なBTOパソコンでは電源下部設置と煙突排気構造が増えています。電源を下部に設置するメリットとして、電源へ冷気を供給する事による電源自体の冷却性能向上と静音化・省電力があり、合わせて空いた天板スペースへの排気ファンの取付や広いメッシュ開口部設置による煙突排気構造とする事が出来ます。

煙突排気構造によるメリットは、暖まった空気が自然上昇する特性を利用したスムーズなエアフローにより、PCケース内部の広範囲で良好なエアフローが期待出来ます。

更に底面にも吸気ファンが設置出来るPCケースもミドルクラス以上のBTOパソコンで比較的増えており、前面・下面から背面・上面への広範囲にわたる流量の多いエアフロー構築や、グラフィックスボードへの冷却強化が期待出来ます。

煙突排気構造のデメリットは、上面からの音漏れがしやすい事と、PCケース内部への埃の侵入が懸念されます。その為、上面のメッシュやファン取付部には防塵フィルターの設置がおすすめです。


エアフローの悪い場所

5インチオープンベイや3.5インチオープンベイはエアフローが悪く熱が籠り易い為、そこにHDDを取付ける際は発熱の低い低速回転HDD(エコ・省電力タイプ等)を使用したり、フロントベゼルをメッシュタイプに変更したり、小型ファン付属のHDDマウンター等を利用するのがおすすめです。
冷却重視型のPCケースでは、フロントベゼルが全てメッシュタイプで通気性の良い製品もありますが、音漏れも多くなります。

拡張スロット部も比較的エアフローが悪い為、サイドパネルが塞がっているPCケースにミドルクラス以上のグラフィックスボードを搭載する場合は、エアホールやメッシュ付の拡張スロットメクラプレートや、拡張スロット部に取付出来るファンを利用する等して、エアフローの改善を行うのがおすすめです。


正圧タイプと負圧タイプ

PCケースファンの流量設定により、エアフローには正圧タイプと負圧タイプがあります。吸気ファンより排気ファンの流量が多いと負圧タイプとなり、逆に排気ファンより吸気ファンの流量が多いと正圧タイプとなります。BTOパソコン全体から見ると負圧タイプの方が多いと言えます。

負圧タイプは、吸気ファン以外のメッシュやエアホールや隙間等からも自然に外気を取り込む為、内部に埃が溜まり易くなります。
正圧タイプでは吸気ファンに防塵フィルターを設置すれば埃の侵入を防ぐ事が出来、内部のエアーはメッシュやエアホール、隙間等から自然に排気され、エアフローを一定に保ちやすくなります。しかし、吸気ファンの防塵フィルターに埃が集中して溜まるので、小まめに掃除しないと吸気不足となります。

PCを使用している人が気になる騒音では、背面側のファンより前面側のファンの音が気になります。正圧タイプでは吸気ファンの流量を増やす為にある程度の回転数が必要となり、負圧タイプと比較すると人が感じる騒音は大きくなります。

BTOパソコンで使われるPCケースにも、製品自体が正圧タイプに適した(正圧設計)PCケースがあり、発熱の多いパーツを多く搭載するゲームPC等で、安定した冷却によるシステムの安定稼働を目指す製品もあります。


エアフローを考慮したパソコン選び

エアフローを考慮したパソコンの選び方ですが、デスクトップの場合は内部空間の広さや強力な冷却パーツの取り付けに有利なミドルタワーやフルタワーのエアフローに優れるデスクトップのBTOゲームパソコンがおすすめです。
タワー型のケースではエアフローの障害となる各種配線ケーブルをマザーボードの裏面でクランプして、ゲームパソコンで特に多い高発熱のPCパーツ周辺の風通しを良くする裏面配線に対応するものや、内部ストレージベイユニットを部分的に取り外せるタイプもあります。

スリムタワーのデスクトップは内部スペースに制限がある為、冷却ユニットの設置やPCパーツ周辺の空間確保が困難となり、エアフローを重視したパソコン選びとしてはおすすめしません。

ノートパソコンの場合は、デスクトップと比較すると圧倒的に内部スペースが狭い為、エアフローの向上は期待出来ません。ノートパソコンを使っていると底面がとても熱くなる事もあり、下に敷くノートパソコン用クーラーを使わないと不安になることもあります。

ホームノートやモバイルノートなどの比較的スペックが低い省電力タイプのノートPCなら小型・薄型・軽量を優先した製品でも良いですが、ゲームやマルチメディア編集の様な負荷の高い処理を行うハイスペックなノートPCでは、エアフローを考慮すると筐体の大きな17インチのノートパソコンがおすすめです。
特にモバイル向けのCPUやGPUよりも高性能で高発熱なデスクトップ向けのCPUやGPUを搭載するゲームノートパソコンも登場していますが、この場合もエアフローと冷却を考慮すると筐体の大きな17型のBTOゲームノートパソコンがおすすめです。



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